vol.2 福島未来会議5「だからこの時代に生まれた〜フクシマを描く〜」

作品経過報告会のレポートと作品展示会のお知らせ

 

2014年2月11日、数日前に降った雪がまだ路面に残る東京、吉祥寺にある武蔵野福音自由教会に、数人のアーティストが作品経過報告をするために各県から集まってきた。彼らは、前年の11月25日、いわきに集合し、実際に福島第1原発事故の跡地を訪ねて回った。防護服をまとって原発から4キロの至近距離まで近づき、目で見たもの、語られたものを分かち合い、アートで表現するという企画に参加したメンバーたちだ。

 

このプロジェクトを主催したのが、「声なき者の友」の輪(FVI)である。原発論争は、時間の流れと共に硬直化、緊迫化している。その中で、言葉に限らず、アートという手段を用いて、神が語っておられることを世界に後世に伝えようという呼びかけに、今回9人のアーティストが応え、自分しか創れない表現方法で作品を出展することになっている。

作品展示の会場は、いわき市文化センター3階 展示室。期間は、2014年3月8日(土)から13日(木)、10時から17時まで(最終日は午前中まで)。

参加作家は、井上達夫(水彩)、今西のぞみ(作家)、尾崎稔成(ガラス)、亀岡亜希子(絵本)、法月純代(油彩)、早矢仕宗仕(色鉛筆)、町田俊之(デザイン)、溝口徳子(油絵)、林美蘭(油彩)の9名。

 

展示会までもう1ヶ月を切っているが、作品はなかなか仕上がっていないようだ。しかし、ひとりひとりが、非常に悩み迷いながらも、良いものを仕上げていきたいという意欲を持って製作活動をしているのが、11日の報告会では見受けられた。それは、原発という問題の重さ、痛みを彼ら自身も背負いながらも、全てが福音によって新しくされる希望を、この現実の中でどのように表現したらよいのかと苦悩している真の姿のように私には見えた。良いものを表現しようとするアーティストたちが生み出す作品は、この世には傷や破綻があるという真実、しかし全てが福音によって新しくされる希望があるという真実、この両者を表現するのであろう。この生みの苦しみから出て来る作品に大いに期待したい。

 

日本ローザンヌ委員会も後援しているこのイベントに、是非とも足を運んでほしい。そして、そこで感じたものを、又自分なりの表現で誰かに伝えてもらいたい。

 

Reported by 高奈美香(ローザンヌ・アート・カタリスト)